平成10年度(1998年)

 光学式顕微鏡の提供

 寄生虫疾患診断の基本である便検査に必須の顕微鏡は絶対数が不足していることから、この年にも顕微鏡を寄贈し、今年もカウンターパートの各寄生虫病研究所を通じて地方の感染地域の診療所(保健所を兼ねる)に設置してもらった。これにより地方の住血吸虫症診療所でも常に確実な診断が行える環境を整えられ、現地スタッフの自立を促すことにつながっていくと考える。

   江西省寄生虫病研究所に2台
    この研究所を通じて、新池県(しんつーけん)の住血吸虫症Control Stationに1台を設置
   四川省寄生虫病防治研究所に2台
    この研究所を通して、この内1台が四川省眉山県(めいしゃんけん)盤鰲郷(ぱんあおごう)のControl Stataion に設置され、残り1台は
     カウンターパートが保管し感染地域での診療に利用

  *: Control Station とは診療所、保健所、現地スタッフの教育機関を兼ねた住血吸虫感染を総合的に管理する感染現場における施設


 現地での活動

   この年は中国揚子江流域での大洪水の影響で住血吸虫症の感染率は大きく増加していることが予想されたため、スタッフの人数を増やして活動
    した。
   実施地域
    江西省新池県新華村(こうせいしょうしんつーけんしんふあむら)
    四川省眉山県盤鰲郷(しせんしょうめいしゃんけんぱんあおごう)

 診療活動の内容

  便検査
   江西省、四川省とも現地スタッフと共同で住民の便から標本を作成。標本は従来からの方法と技術指導を行いながら新しい方法で作成した。
   四川省では、現地スタッフとの共同作業で約1,000名の住民の便検査標本を作成した。

  超音波検査
   現地スタッフと共同で、江西省新華村(しんふあむら)では1日50から60名の住民の超音波検査を実施し、約300名位の検査を行った。
   四川省盤鰲郷(ぱんあおごう)では日本側スタッフが約120名を検査し、約300名を行った。

  衛生教育
   授業は日本で制作したパネルを使い、中国語と確認の通訳を入れて紙芝居形式で行った。江西省新華村(しんふあむら)では小学校3年生、
   4年生の計約80名を対象とした。四川省盤鰲小学校では5年生の2つの学級の学童、計120名を対象とした。授業は江西省と同じ内容で日本で
   作成した資料を使って行ったため学童には好評で効果的であったと考えられる。
   授業に用いた資料は現地の学校に再利用してもらい、他の学年の学童にも衛生教育を実施してもらうことにしている。

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