経鼻内視鏡検査:経鼻上部消化管内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けたことのある方は「苦しかった」とか「辛かった」という感想を持ったこともあると思います。当クリニックの経口的上部消化管内視鏡検査は、内視鏡径も9.8mmと細い方で「意外ときつくなかった」という感想をもたれる方の方が多かったと自負しています。しかし、「大変きつかったのでもう二度と検査は受けたくない」、と言われる方も稀におられますが、これは、内視鏡が舌根部(舌の根元で、指を突っ込むとオエッと感じる部位:下図)に触れて”咽頭反射”が起ることで生じる現象を苦しく感じているためです。もちろん、検査に先立って充分な咽頭麻酔の処置を行いますが、舌根部に触れずに内視鏡が挿入できればこの反射は起らず楽に挿入できることになり「以外と楽だった」という結果になります。

    鼻腔模式図と内視鏡挿入経路

経鼻的上部消化管内視鏡検査は1990年初め頃より行われるようになり、装置の進歩に伴ってこれらを備える施設の数も徐々に増加してきています。
経鼻的に検査を行うことの長所は、まず上記のように挿入時の嗚咽感(オエッとくる反射)が大きく軽減されたこと、鼻を通して挿入するため口が使える、すなわち検査中の会話も可能となる点です(経口的内視鏡検査では内視鏡の挿入と動きを妨げないようにマウスピースという器具を軽く噛んでおくため話せない)。検査を受けている方も内視鏡のモニターを見ながら説明を受け質問さえ可能となります。当然、内視鏡の径も経鼻の方が細くなります。当クリニックの場合、経口内視鏡で9.8mm経鼻内視鏡で5.9mmです。欠点については、鼻粘膜肥厚や鼻中隔わん曲のある方、鼻出血を起こしやすい方(出血しやすくなるような薬剤を服用されている方も含みます)、鼻閉の強い方、などで挿入が難しいこと、また、高齢者や元々胃腸機能の弱い方で胃内に不消化な食物残渣が多い場合は内視鏡径が細いため吸引が経口的な内視鏡より弱くなる点、さらに、組織生検(病変の病理学的診断のため細胞を採取する処置)も径が小さくつかみにくい、などがあげられます。

当クリニックの経鼻上部消化管内視鏡装置  入換え       経口的内視鏡装置

当クリニックでは全体の検査時間のかかる全身麻酔(安定剤で軽く眠った状態で検査を行う)は経口的内視鏡検査でも行っておらず、経口的・経鼻的どちらでも非常に短い時間で検査を終了するようにしています。
経鼻的内視鏡検査の時に起りうる偶発症で最も多いのは鼻出血です。これを予防するため前処置として血管収縮剤をスプレー点鼻しますが、元々種々の薬剤にアレルギーがある方や、心疾患・脳血栓症などで抗凝固剤などの服用を為されている方は検査前に担当医に話しておくことが必要です。

ご質問のある方はクリニックにお尋ね下さい。

経鼻内視鏡について、富士フィルム内視鏡システムのホームページにもその有用性などを説明しています。

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