これからの季節、集団生活を行なう幼稚園児や学童に起りやすい疾患がありますので注意が必要です。また、高温多湿の季節になると食中毒も起りやすくなります(クリニックの食中毒のページに説明しています)。

伝染性紅斑(リンゴ病)
ヒトパルボウイルスB19によって起こる流行性発疹性疾患です。4 -12歳の園児や学童に好発し、頬に出現する蝶形紅斑(蝶がハネを拡げたような両頬の発赤)が特徴的で、あたかも平手打ち様・リンゴ様に見えることから通称リンゴ病と呼ばれています。進展すると腕に、ついで大腿・臀部などにレース状・網目状・大理石様の紅斑が出現してきます(参照:日本医師会刊行 実践小児診療. S4, 2003)。小児では70%以上が顕性感染(感染して症状を表すもの)ですが、成人は約70%に関節痛が認めるものの不顕性感染(感染しても発病することなく終わる)が多く顕性感染率は30%前後と言われています。しかし、妊娠中に感染すると胎児の脳発育に悪い影響を及ぼす危険性がありますので注意が必要です。感染経路は、経気道的なものが主で、通常飛沫や接触(アデノウイルスやロタウイルスと同様)で感染します。感染後約1週間で発熱・倦怠感・筋肉痛などの症状が認められ、14‐18日の潜伏期を経て発疹が出現します。発疹が出現した時にはほとんど体の中からウイルスは消えているので感染力は無く、既に発疹の出現している園児・学童との接触を無理に避ける必要はありません。この疾患はそのほとんどが予後良好で特に治療の必要なく回復します。ただ、いったん消失した発疹が稀に日光・気温・物理的刺激・ストレスなどで再出現することがあり注意が必要です。抗体保有率は0 - 4歳で10%、20 - 30歳代で30 - 40%、50歳以上では約80%です。

顔面蝶形紅斑      大腿部レース模様紅斑
鑑別するものとして、この時期のアレルギー性湿疹(カビ・ハウスダスト・犬や猫の毛・花粉など)や薬疹(薬によるアレルギー:組合わせにもよりますが抗生物質や鎮痛・解熱剤が原因となることが多いようです)、蝶形紅斑については膠原病がありますので診察を受ける際にお話をしてみて下さい。


咽頭・結膜炎(プール熱)
咽頭・扁桃炎症状(のどの痛み)・結膜炎(目の充血)・発熱を主症状とし幼児・学童に好発するアデノウイルス感染症(3型や7型)です。プールでの遊泳など集団生活や家族内での感染(通年性)が多く見られます。確定診断は咽頭拭い液による酵素抗体法迅速診断により可能です。一方、ヘルペス性の場合は角膜病変を合併し予後不良のことがありますのでかかりつけにご相談下さい。対症療法が主体で、高熱が続いても全身状態は良好のことが多く咳がひどく続く場合は7型による肺炎を疑って胸部レントゲン撮影が必要があります。
結膜炎としてはアポロ病も急性出血性結膜炎で、こちらはエンテロウイルスによる感染症で流行性があります。

この内容のパンフレットはクリニックで配付していますがこのページからPDFファイルをダウンロードできます。
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