ASSCAのこれまでの変遷
ASSCA援助事業の概略
中国揚子江<ようすこう>流域や東南アジア諸国には3大疾患(フィラリア、マラリア、住血吸虫感染)の一つである住血吸虫症<じゅうけつきゅうちゅうしょう>によって今なお多くの住民が苦しみ、感染の危機に曝されています。2002までは中国の住血吸虫濃厚感染地域に住む人々(江西省と四川省の学童を含む感染地域住民)を援助事業の主たる対象者としていました。 2003年からは東南アジアの国々の中でラオスに対象を拡げ、メコン川流域の濃厚感染地域での活動を継続しています。

主に行われている活動としては下記のようなものがあります。

 ASSCAスタッフによる撲滅事業
検査(診断や重症度判定、また治療効果判定のための超音波検査、便検査、血液検査等)、治療、衛生教育等を実施することにより現地の住血吸虫症撲滅事業を支援することを目的としています。
 現地スタッフに対する指導
日常、住血吸虫症診療や研究に従事している現地寄生虫病研究所スタッフの技術レベルの向上を図り自立を促すため現地での技術指導や講義などを実施します。
 機材・資金の提供
日本から常時専門家が行っていなくても現地スタッフのみで事業が継続できるように顕微鏡、超音波診断機器、便検査診断機器などの機材を提供していくよう計画しています。感染地域の広さと対象者の多さに比べて現地のカウンターパートの資金に限度があるため、現地活動費の一部、即ち薬品費(診断薬、治療薬)、器具購入費、移動費、感染現場での滞在費、感染現場での現地人件費などの補助も行っています。

これまで実施してきた中国での住血吸虫症診療、援助活動の経験を活かして東南アジアの国々のうち、まずラオスで住血吸虫感染の実態調査を開始し、これまで行ってきた中国の感染地域での実際の診療経験と日本の住血吸虫症を撲滅し得た多くの知験を活かして援助活動を行っていく計画です。その後に他の東南アジアの国々にも活動範囲を広げていきたいと思っております。


ASSCA発足までの経緯
アフリカや南米では欧米諸国の多くの医療従事者や研究者が公私を問わず感染地域で疫学・環境調査、診療活動や教育を行っていましたが、短期間に簡単かつ迅速に多くの人々を診断可能な超音波検査が行われるようになると、客観性の強い血液検査と違ってそれぞれの研究者や検者間に所見の差が生じこれらを世界的規模でデ−タ処理する際に不都合が生じます。

WHOは世界各地の住血吸虫感染地域の代表による超音波検査の方法、その記録様式の標準化を目的とした会議の開催を提唱し、初代ASSCA代表もそのうちの一人として1990年10月エジプトのカイロでの会議に出席してきました。その翌年、WHOの要請で中国の住血吸虫濃厚感染地域で超音波診断も利用した住血吸虫症対策事業を計画(一部実施中)している3カ所の寄生虫病研究所を視察しています。揚子江流域の江西省:南昌<なんちゃん>、湖南省:岳陽<ゆえやん>、四川省:成都<ちぇんどぅ>の3カ所でしたが、想像を越えた現状であることに驚かされて帰国。患者の数は予想以上に多く、広大な国土に広がる感染地域もかなりの面積で、そのような状況にも拘らず研究所の予算、設備やスタッフの不足、また、何よりも超音波検査が推奨される事業なのに肝心の超音波診断装置の不足が事業の遂行を妨げていたようでした。

しかし、現地スタッフのこれら事業に対する熱意は高く、帰国後指導を含めた援助の必要性をいくつかの大学を中心に訴えましたが、現在主流の疾患ではなく興味の対象ではないという理由で協力が得られなかったため、個人的にできる範囲で援助していくこととし、民間ボランティア団体(NGO)として『中国・東南アジアの住血吸虫症撲滅を支援する会(ASSCA)』の設立に至っています。
ASSCAの事務局は2003年まで福岡県にありましたが、代表の交代に伴って沖縄県に移動しました。活動内容については事務局が変わっても変更はありません。
ASSCAは、The Group of Aid for Study of Schistosomiasis in China and Southeast Asian Countries の頭文字を示しています。