活動内容の紹介
 

  診療活動(検査、治療など)

  ASSCAでは今、糞便検査、エコー、抗体検査を行っている。

・糞便検査
日本住血吸虫は、宿主の体内でたくさんの虫卵を産むが、その一部が便に 混ざって排出される。糞便検査では虫卵を検出することにより、その人が日本住血吸虫に 寄生されていることを知ることができる。

現在、WHO(世界保健機関)では加藤カッツ法という方法が推薦されている。 この方法は、糞便をフィルターに通し大きなごみを除いたあと、上からグリセリンと マラカイトグリーンという薬品に浸したセロファンをかぶせて、顕微鏡で観察する方法である。 この方法を用いると、便が透明になるため虫卵が分かりやすくなる。しかし、残存する ゴミが多くクリアに見えない上に、糞便をそのまま用いているため臭く、長く標本として 保存することができない。

ASSCAでは、真喜屋先生が開発した真喜屋法を使っている。 この方法では、糞便をまず中性洗剤の入った水で溶解して大きなフィルターで ゴミを除き、それから穴の小さなナイロンメッシュでこすことにより、 虫卵を効率よく検出できるようになった。 虫卵のついたナイロンメッシュはそのままスライドグラスにのせますが、特製の封入液 を数滴落とすことによって、溶けてしまう。 この方法では、臭いの面でも改善され、長期間の保存も可能である。それに何よりも、虫卵をはっきりと見ることができるようになった。

            

       早速便標本を検鏡する真喜屋先生          真喜屋法検鏡所見:多くの蛔虫卵が見える!

                                (この視野内には住血吸虫卵は見えていない) 

        

・エコー(超音波検査)
日本住血吸虫の感染が進行していくと、虫卵が肝臓に蓄積し肝臓の正常な機能や組織が 失われていく。エコーでは、肝臓の組織の状態を見ることにより、どのくらい 病気が進行しているか知ることができる。


・抗体検査
日本住血吸虫に感染することによって、宿主の体内に日本住血吸虫に対する 抗体ができてくる。抗体検査は、血液中にどれくらい抗体が含まれているかを 調べる検査である。

                  スポイトに太い針のついた採血器具で子供たちを採血する日本側スタッフ

 衛生教育

日本住血吸虫症では感染する経路を絶てば感染を予防できるため、衛生教育をすることが重要である。毎年、地元の住民に対して壁にポスターをはったり、肝臓や腸に寄生した住血吸虫の実物の標本やミヤイリガイを見せたりして、 感染経路や症状、治療の必要性、また予防法などを説明している。ここ数年は、小学校での衛生教育を行っている。


 現地専門家の育成

 現地スタッフの自立のため専門家を育成することが大切で毎回これを実施している。
 超音波検査を行いながら現地の医師、あるいは超音波検査を担当する検査技師を実地指導したが、江西省・省都の南昌にあるカウンターパートの江西省寄生虫病研究所の医師達の技術レベルは充分自立できるレベルに向上してきた。しかし、地方の住血吸虫症診療所(保健所機能を兼ねる)の医師や検査技師のレベルはまだ自立できるまでには至っていない。
 便検査については、従来の方法は経験が多く、多数の住民の便検査を実施することには問題ないが確実性については器具や技術レベルの差がみられる。新しくより信頼性の高い便検査法を指導し、自立に向けて技術の向上を目指した。産業医科大学寄生虫学・熱帯医学教室の塚本増久名誉教授と真喜屋 清助教授に指導をお願いしている。

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