手足口病(hand-foot-and mouth disease)

 手足口病は、コクサッキーウイルスA-16/A-10エンテロウイルス71などの感染で口腔粘膜や四肢末端に水疱性発疹の現れる乳幼児を中心に流行するウイルス性発疹症です。初夏から秋にかけて多く見られ、3−5mmの丘疹に2−3mmの水疱を伴う発疹が手足全体から肘や膝あるいは臀部周辺に多数みられることもありますが、手と足だけや足と口だけなど典型的ではない場合もあります。発疹初期に軽度の発熱をみることもあります。潜伏期は1‐5日。乳幼児の罹患は不顕性感染(感染しても発病しない)が多く、家族内感染も多くみられます。ウイルスは比較的長く便中に排泄され治癒した人も長期にわたって感染源になり得るので注意は必要ですが(感染力は強くありません)、たいてい発疹以外は無症状あるいは口腔内の発疹に疼痛を伴う程度で数日間のうちに自然治癒する基本的には予後良好な疾患です(3−7日で治癒)。


    

上記写真は、左から幼児の手掌と指の丘疹、同じく足の裏の丘疹、また口腔内前歯と口唇の間の水泡を伴う丘疹
(日本医師会刊行 実践小児診療. 2003)

 合併症として注意が必要なのは無菌性髄膜炎(Entero 71:マレーシアと台湾で流行中に急性脳炎・脳症の合併による急性死の報告が続いたことがありました)と心筋炎(コクサッキーA16:心臓の筋の炎症)です。鑑別を要するのはヘルパンギーナ(臼歯より前部の頬粘膜・口唇内側・舌には発疹が見られない)や水痘、単純ヘルペス感染などです。
 特異的に有効な薬剤はなく通常は対症療法を行います。夏季に好発するので、口腔内発疹による口内痛で食思不振や飲食ができない高度な場合は脱水に注意が必要です。口内痛に対しては最近は刺激を少なくするパウダースプレーを使うこともあります(当クリニックでも処方しています)。
いつ幼稚園や学校に行けるかという時期については、本人の全身状態が安定した場合は登園や登校は問題ありません。
手足口病についてのパンフレットをPDFファイル形式でダウンロードできます 
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